舞楽・蘭陵王



舞楽とは?


 日本の平安時代、貴族達は様々な遊びを好みました。絵合わせ、香合わせなど、今も残っている雅びやかなものがそれです。

 そのなかに、雅楽という音楽があります。
 雅楽は龍笛・篳篥・笙などの楽器で演奏され、非常にゆるやかで、雅びやかな旋律が特徴です。現在でも、神社や神前結婚式で聞くことがあるので、知っておられる方も多いと思います。
 これらの楽器を奏することができるというのは、すなわち、平安時代の貴公子達のステータスにも繋がっていました。

 雅楽のレパートリーのなかには、舞楽というものもあります。
 雅楽の旋律に舞いをつけたもので、とても華麗なものです。
 緩やかな調子のものは、平安王朝風の装束を身に付け、比較的テンポの早い楽曲は、裲襠装束という、動きやすい衣装を着付けて舞われます。

 「蘭陵王」は、早いテンポの曲=走舞の楽曲のひとつです。
 朱色の上下の装束に、極彩色の金色の龍を象った仮面、手には衣装と同色の撥という、目にも華やかな装いで舞われています。
 非常に勇壮で、印象的な舞です。

 舞楽「蘭陵王」には、以下の由来が伝わっています。


舞楽「蘭陵王」

 中国南北朝時代末期、北斉の蘭陵王・高長恭は勇猛果敢であったが、余りにも美しすぎたために、敵を威嚇できないことを残念に思っていた。
 そこで、彼は醜悪な仮面を着けた戦いに挑み、大勝を博した。
 彼の勇猛な姿を舞にしたのが、舞楽「蘭陵王」である。



 このように、歴史上の人物に準えた舞だといわれています。



 わたしは、あるところで舞楽「蘭陵王」のポスターを見、その華やかさに魅入られました。
 後に、舞楽「蘭陵王」の由来を調べてみると以上の通りで、実在の人物を題材にした舞だと判明しました。
 当然のように、もととなった北斉の蘭陵王・高長恭という人を知りたいと思い、色々なところで調べてみましたが、日本語の書籍ではあまり判然としなかったので、中国の書籍に当たってみました。

 すると、舞楽「蘭陵王」の裏に隠された、蘭陵王・高長恭本人の、想像を遥かに越えた素顔というものを垣間見たのです。



 簡単ですが、これから舞楽「蘭陵王」のモデルとなった蘭陵王・高長恭を追ってみようと思います。


北斉が出来る以前



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