スピリチュアルに嵌まる人の病的な部分



 実はわたし、アスペだと解る前に、スピ系にかぶれていたことがありました。

 スピリチュアルな生き方をするには、「これこれこうしたほうがいいよ」という好ましい生き方が何か条かありまして、どれもダメダメなわたしは、随分としんどい思いをしました。


 こんな感じで思ってました。

 でも、スピ系には解脱できないと2012年に死んじゃうよ、というお話があって(んなアホな、て感じですが。笑)、余計しんどくなるわけで(汗)。

 ……まぁ、アスペと解ってから、最初から無理だったんだから、自分責める必要なし!! と綺麗さっぱり割り切りました。
 でもまぁ、確かにそうできたらいいよなぁ、ていうのも道徳的にはあるので、無茶しない程度に現在でも実践なんかはしていますが(でも、無理なものは無理、ということで。笑)。


 スピ系の世界に入るためには、お金が無くちゃやってられない、っていう感覚があります。

 わたしは鉱物好きですが、「超古代大陸の記憶が秘められた、女神の宿る水晶」というのがあって、ン十万円します。
 またその水晶、透明度が高くて、すごく綺麗なんですよね。
 で、そのすごいらしい水晶が採れる晶洞の、極々近い晶洞からそっくりさんな水晶が採れるのです。
 でも、水晶を商標登録しちゃった会社が、同じ特徴で違う晶洞から採れたものは、価値(パワー)がない! と断言してるんですよ。
 ……わたしは、迷わず違う晶洞から採れた、格安のものを購入しました。
 商標ものではないけど、綺麗だし、立派なので満足してます(笑)。
 でも、スピ系さんは、巧い文言に釣られて、商標登録ものを求められてます。

 ちなみに、鉱物店で売っている石は悪い念が付いている、パワーが落ちている、とパワーストーン屋さんは言いますが、やはり値段が大違いなので、わたしは鉱物店で買っています。パワスト屋で買った石も持っていますが、大差ないです。

 他にも、エネルギーヒーリングやカラーセラピーなどは、やはりお高いです。
 肩凝りでがちがち、色んな意味で首が回らないわたしは、そっちにお金を払うなら整体に行きたいよ、と思ってます(爆)。


 でも、まったくスピ系を否定するつもりはなくて、プラシーボかもしれないけど、フラワーエッセンスはうつの時に飲んでますが、効いてくれます。
 アロマテラピーの柑橘系の精油がうつに効くっていうのも、科学的に証明されてますし。
 感覚過敏な人は、エネルギーヒーリングを受けるとピリピリ感じるかもしれません(わたしはきます)。
 あと、生物すべて含め、いったいどこから来たのかなど、そういうところはスピ系の考え方とわたしは一致しています(いや、スピ系に限らず、神道や密教も同じなんですけどね)。


 えーと、スピリチュアルとお金の話に戻しますが、裕福な人ほどスピ系に行きやすいか、といえば、それはないんじゃないかな、と思います。

 何でかといったら、スピ系にお金を掛ける人は、「特別な人間」というレッテルを自分に貼りたいからで、そのためならどこででもお金を調達するからです(最近は、お金を借りやすい環境にあるし、またそれに抵抗を持つ人も少ないし)。

 まぁ、生まれた頃から貧乏生活を送ってこざるをえなかった人は、そういう意味では騙されないとは思いますが。リアリストになってそうだし、けちんぼになってる可能性もあります。

 ちなみに、80年代に「戦士の記憶を持つみなさん、応答してください」とかいう投書がオカルト系雑誌に溢れかえったことがあったらしく(「ちゆ12歳」に詳しいです。ミクシィで教えてもらいました)、その頃「ぼくの地球を守って」を読んでいた人が、現在スピ系にはまっているとか、何かで読みました(ソース何だったっけ? 探しておきます)。



 精神世界の人は、普通の人と自分たちを線引きしている感があります。

 例の「超古代大陸の記憶が内臓された、女神の宿る水晶」は、「辿り着くべき人のもとに辿り着く(=辿り着くべきでない人のところには辿り着かない)」というキャッチコピーがあります。

 「2012年に、「解脱(アセンション・次元上昇)」できていない人は「フォトンベルト」の影響によって死にますよ。解脱した人だけライトボディとなって生き残るのです」というのも、目覚めたら勝ち組! 負け組みは死ぬんだよ! という思想ですよね。


 ……ある意味それは、平凡な自分からの「現実逃避」、自分を他の人よりも格上にカテゴライズしたいという「自己愛」なんですよね。

 参考リンク:自己愛性人格障害とはなにか

「境界例と自己愛の障害からの回復」より)


 また、病気や精神的苦痛から逃れるために宗教に入り込んだ人は、お金がないのに無理矢理お金を調達してまで宗教に縋ったりします。
 占いも同じで、不安があるから、安くないお金を出して通い続けます。
 悪い宗教家や占い師(チャネラーやヒーラーなどスピ系商売も含む)は、相手(ネギしょったカモ)に不安や苦しみ、隙があることを知ってるから、不安材料に付け込んで脅します。
 相手を更なる不安に落し込んでおきながら、自分しかあなたを救えないと言って、相手を繋ぎ止めます。
 あるいは、相手の妄想に乗じてお上手し、安心感を与えてリピーターさせたりもします。


 チャネリングを受けたいという人に言いたいことは、果たしてチャネラーの上に降りてきている存在が、本当に高次の存在かどうか疑う事も必要、ということです。

 「チャネリング」と「キツネ憑き(コックリさん)」は、ある意味同義です。
 高次の存在といいつつ、低次元の存在(動物霊や浮遊霊・地縛霊など)が降りてきている可能性もあるからです。

 ちょっとお下品な本でもありますが(汗)、「電波系(根本敬・村崎百郎著 太田出版)」に至極真っ当な意見が載っていますし、スピ系商売に疑問を持つ人は一読されるのもいいかもしれません。
 ちなみに、村崎百郎氏の非公認公式サイトに、「電波本」に載っていたものをより詳しく書いたものがありました。お下品で言葉遣い汚いですが、それが大丈夫ならこちらをどうぞ。汚い言葉のなかに正論が入っています)

 あと、チャネラーの語っていることが、「思い込みのフィルター」や、見ていたもの聞いていたもの読んでいたものの残滓が、網膜や脳に焼き付いていたりなどの混線があったりして、クリアな状態で情報を降ろしているかということも検討するべきだと思います。

 「疑う事」「検討する事」は、「他人や余所の価値観・情報に自分の人生を丸投げするでなく、自分で自分の人生を決め、切り開いていく事」です。
 それをしないようになると、人間としての進歩・成長を止めてしまい、幻影の内に安んじて本当の危機に自力で立ち向かう事が出来なくなります。もっと、現実に眼を向けることが必要です。



 ……スピ系にはまっていた頃のわたしは、「うつ病」と「特別になりたい病」両方ともあって(アイタタタ。汗)、カモにされかけるなど痛い目にもあいましたが、アスペと解ってからはそういうものを追い求める気持ちは無くなりました。

 今は、小説を書いていられたら幸せ、好きなものを追い掛けられたらそれでいい、という感じです。

 スピ系に対しては、醒めた目で見ている自分と、宇宙哲学的なものに共感する自分と両方います。中間派、ということですか。

 科学で実証できないものは「ある」とはいえない、とは思っていないし、地球の過去や未来の行く末が、チャネリングなどで現われているとおりであるとは限らない、とも思っています。



 最後に、山岸凉子の漫画「負の暗示」(「神かくし」掲載。戦前の大量殺人事件「津山三十人殺し」を題材にした漫画)から引用。

「先送りした逃避はいづれ目の前に戻ってくる。さらに倍になって。
 そのまま解決せずまた先送りするとさらにさらに倍になって戻ってくる。
 それが負のサイクルであり、春雄(注:津山事件の犯人・都井睦雄)はそのサイクルに囚われ、抜け出せなかったのだ。
 はたしてこのサイクルに囚われるのは春雄だけであろうか。
 そのひとつひとつが小さな逃避であろうとも、負は大きな口をあけていつでも我々を待っている」



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